BOURBON STREET

Step 12    第24回神戸ジャズストリート迷走記(2)  第1日 前半

                    今高英一 小野洋 藤本伸誉 堀晃

10月8日(土)

12時〜】

アルフレッド・フェラリオ
 堀晃はまず神戸女子大学教育センターへ。
 『2本のクラリネットでストンプを』
 ずいぶん前から「来年はイタリアからいいクラリネットを連れてくるぞ」と聞かされていた、それがアルフレッド・フェラリオ。クラ・ファンとしては、最初に駆けつけなければ。
 アントワーヌ・トロメレンが仕切るステージで、テグラー・カルテットがバックを務める国際色豊かな実力バンド。
 目玉はフェラリオと鈴木直樹の2クラ・セッション。

フェラリオ

 フェラリオ氏は基本的にはスイング・クラリネットだが、若手の鈴木さんとのセッションになるとモダンな感覚も発揮、期待にたがわぬ技量の持ち主である。
 ただ、イタリア人にしては物静かな印象……と思ったら、めったにイタリアから出ることがなく、イタリア語以外は喋らないので、すべてピアノのアルデリッキさんが通訳するそうな。来日までの交渉はたいへんだったらしい。神戸JSには慣れてほしいところだ。

シンシア・セイヤー
 この時刻、今高英一は異人館通の「春志音」にいる。
 『ニューヨークではこんな歌が……』
 今回のお目当てのひとり、美人バンジョーのシンシア・セイヤーさんを聴くためである。
 サイモン・ストプルリング+山本琢トリオにシンシアがバンジョーを持って登場。
 シンシア・セイヤーはウディ・アレンのバンドの紅一点で、映画「ワイルドマン・ブルース」にも登場している。
 小さい会場で、電気ピアノなので、ちょっと音質があわないところがあるが。
 セイヤーさんは、基本的にはリズム・バンジョーではなく、エマヌエル・セーレスやダニー・パーカー系、メロディを聴かせるソロが素晴らしい。

右近茂 田中ミドリ
 小野洋は所用あっていったんホテルに戻る。が、ここも演奏会場のひとつ……じゃなかったふたつである。
 新神戸オリエンタルホテル4階の「ザ・バー」では、
 『秋の北野でシインギング』
 ここは右近茂+高岡正人トリオに田中ミドリの出演。
 早くも水割りかカクテルがほしくなる夜のムードである。
 ここを覗いた後、

T.U.T.エキスキャリバース
 1階『アベニューステージ』で、昨夜に引き続き、キャリバースが演奏中。
 ここはオープン会場で、客席から手拍子が湧く盛況である。

【13時〜】

マホガニーホール・ストンパーズ
 堀はトーアロードを下り中山手通との交差点にある「NHK神戸放送局」へ。
 ここは通称「トアステ」、NHK夕方の「ニュース神戸発」で金曜にライブが行われる。テレビでは知っていたが、来るのは始めて。
 ピンカラさん率いるマホガニーホール・ストンパーズ登場。
 オープン会場だが、音響・照明ともによく、客層も上品な人が多い。

マホガニー

 曲目失念……レポートは早く書くべきだ。わりとポピュラーなナンバー中心だった。
 ピアノは野良青年団の大野かおりさんである。
 椅子がひとつ用意してあって、ピンカラさんが「もうすぐゲスト・バンジョーが来る予定です」という。どうやらラスカルズの川合純一さんがゲストらしいのだが……あれ? ラスカルズは別ステージで演奏中ではなかったっけ?

ニューオリンズ・ラスカルズ
 同時刻、ラスカルズ追っかけの今高は「春志音」にそのままいて、ニューオリンズ・ラスカルズを聴く。
 「G・ルイスin ラスカル節」
 ちゃんとバンジョー・川合さんもこちらにいる。
 ちいさな会場でラスカルズというのは珍しいく、マイク林立のステージが窮屈に見える。
 しかも電気ピアノ……と心配したが、尾崎喜康さんの弾くHymnsはなかなかいい雰囲気であった。

【14時〜】

ハイタイム・ローラーズ
 ラスカルズを聴いたあと、今高は坂を下って「神戸バプチスト教会」へ移動する。
 「JAZZ at Vesper」
 夕方までここに居座る予定。ハイタイムもむろん目当てのひとつだが、夕刻、最後のステージはラスカルズで、ジャズ友はここに集合となっているのである。
 東京からのハイタイム・ローラーズ、ピアノに小川理子さん加入でますますパワーアップしている。
 が、ここでは<夕べの祈り・3篇>のトップバッターであり、賛美歌曲が中心、小川さんのヴォーカルも地味目のHymnsで、いかにも「現代ニューオリンズ・ジャズ」の雰囲気が漂う。

ハイタイム
(imataka)


マグノリア・ナチュラル・フレイバーズ
 「ゴスペルからスタンダードまで」
 小野は昼食後、インドクラブに立ち寄って、タミー&タミー&山下義則さんのヴォーカル中心のステージ後半を楽しむ。

花岡詠二 フェラリオ
 「ジャズで世界の平和会議を……」
 堀はといえば、トーアロードを上って北野工房へ。
 花岡詠二さんが中心のセッションで、わが目当てはフェラリオと花岡さんの共演である。
 会場隅で末廣さんとジャズ研究家の岡村融さんにご挨拶。

岡村氏

 東京からは他にも色んな人が来場されているはずだが、たぶんほとんどすれ違いではないか。柳澤安信さんとは何ヶ所か同じ会場にいたはずだが、挨拶できぬままだった。
 このステージは末廣さんの企画で、花岡詠二+フェラリオ+トロメレン+五十嵐明要+テグラー・カルテットという国際色豊かなセッション。

花岡グループ

 フロント4管……フェラリオさんの感想が聞きたいところだが、相変わらず無口。
 ところで、会場出口でフェラリオのCDを見かけた。ほしかったが本日はバッグなし、傘とデジカメで手がふさがっている。明日買えばいいかと通過したが、結果として、これは失敗であった。CDは出演会場でしか売っていない。この後タイミングが合わず、入手できぬままになった。
 フェラリオが来年も来てくれるのを願うばかりである。
 ジャズCDは見つけたらすぐ買う、これは鉄則だと再確認したのであった。

 ここで初日まだ前半。ずいぶんウロチョロしているようだが、楽しみはこれからである。

 (つづく)

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